大特集!
2012年の天文現象

 

2012(平成24)年は壬辰(みずのえたつ)=「たつ年」です。

夜空には、ギリシア神話の黄金のリンゴを守る竜・ラドンの姿「りゅう座」が輝いています。

今年は「金環日食」を筆頭に「金星の太陽面通過」「金星食」といった大きな天文現象が相次いで起こります。
 オリンピックイヤーでもあり、ゴールドラッシュの良い一年になることを期待したいものです。

 

 

5月21日 金環日食 大崎では見事な部分日食

 日食は、太陽−月−地球が一直線に並ぶ時に月が太陽を隠す現象です。月と太陽の見かけの大きさはほぼ同じですが、今回は月が太陽より若干小さいために、月が太陽全体をすっぽりおおい隠す「皆既日食」とはならず、太陽が金の指輪のように欠ける「金環日食」になります。

 金環日食が見られるのは福島以南の太平洋岸です。首都圏などの三大都市圏を含む日本の総人口の3分の2にあたる約8千万人が住む地域で起こる、空前の一大天文ショーとなります。
 残念ながら宮城県は金環日食帯からは外れていますが、欠ける割合を示す食分0.92の深く欠ける部分日食になります。

 大崎における日食の開始は朝6時23分で、太陽の右上から徐々にかけ始め、食の最大時刻となる7時40分には細長い円弧状の形になります。日食の終了は9時9分です。

日食は大変素晴らしい天文現象です。子どもたちをはじめ多く住民の皆さんに楽しんでいただきたいと思います。特に、子どもにとっては理科学習への強い動機付けになるとともに、宇宙における地球・月・太陽の位置や運動を実体験できる貴重な機会です。
 ただピークが登校時刻と重なり、しかも強力な光を放つ太陽の観察を伴いますので、安全に観察できるように学校・地域の様々な配慮が必要と思われます。

大崎生涯学習センターでは、当日6時半から「日食をみる会」を開催する予定で、観察会の運営に協力していただけるボランティアスタッフを募集しています。

 
大崎での日食経過図

 

●6月4日に全国で部分月食

 月食は、太陽−地球―月が一直線に並ぶ時に、月が地球の影に入り込んで起こる現象です。昨年12月10日には、月がすっぽりと影に入る見事な「皆既月食」がおこりました。今年も、6月4日に「部分月食」、11月28日には薄い影に入る「半影月食」が起こります。

6月の部分月食は、夕方6時59分に始まって8時3分にピークを迎え、月の約38パーセントが欠けてみえます。肉眼でも十分に楽しむことができます。

 

●6月6日、世紀の「金星の太陽面通過」

 金星は地球の内側を回る惑星です。その金星が太陽の前面を通過すると、黒く大きな丸い影がゆっくり移動していくのが見えます。これは大変めずらしい現象で、前回は2004年6月におこりました。1874(明治4)年以来130年ぶりのことでしたが、全国的な悪天候のため観測できた人はわずかでした。
 今回を逃すと、次回は
211712月。105年後となります。実質的に、私たちが目にする最後の金星太陽面通過、世紀の天文現象となります。


大崎での経過図

 

8月14日、9年ぶりの金星食

 天体の中で、とびきり明るい月と金星は、近づくだけでも美しい光景です。金星は今年5月まで、宵の明星として夕方の西の空を飾りますので、何度か夕方の細い月と接近します。

6月以降は、明け方の空に回ってあけの明星となりますが、8月には、細い月に金星が隠される「金星食」が見られます。金星が月にどんどん接近し、月の裏側へと吸い込まれるように消え、再び少しずつ明るさを増しながら出現するさまは、思わず息を飲むほどに見事です。

ちょうどペルセウス座流星群の活動が活発な時期ですので、ぜひご家族で流れ星とともに楽しんでいただきたいと思います。子どもにとっては、夏休みのよい科学体験になると思います。


大崎での経過図

●ペルセウス座流星群とふたご座流星群に注目

 8月12日にピークを迎える「ペルセウス座流星群」と12月14日の「ふたご座流星群」は、年間の2大流星群と呼ばれています。ペルセウス座流星群は下弦過ぎの月が残りますが、ふたご座流星群は新月で好条件です。ぜひ、たくさんの流れ星を数えてほしいものです。

 また、かつて「ジャコビニ流星群」として話題になり、昨年10月8日に突発的な出現が見られた「10月りゅう座流星群」は今年も要注意です。今年は10月8日の夜8時がピークと予想されています。
 たつ年の今年、りゅう座流星群の大出現はあるでしょうか。宵の北の空に注目しましょう。

 

●C/2009 P1 ギャラッド彗星

 2009年にオーストラリアの天文学者ギャラッドさんの発見した彗星が、2月中旬から3月中旬にかけて見頃を迎えます。北の夜空、りゅう座付近で6等台になる見込みで、暗い空では双眼鏡があれば十分見えるでしょう11月にはすでに彗星特有の尾が見られ、今後の勇姿が期待できそうです。

 ギャラッド彗星以外では、185P/ペトリュー彗星やP/2011F1リニア彗星が10等前後に明るくなりますが、大きめの望遠鏡でないと見るのは難しいでしょう。肉眼でも見えるほど明るい新彗星の出現に期待したいところです。

 

●その他の天文現象

その他、主な天文現象を「表」にまとめました。3月には火星が地球に接近します。春の星座しし座に、赤く明るく輝く姿が私たちの注目を集めるでしょう。4月3日頃、金星がプレアデス星団(すばる)に大接近します。双眼鏡で素晴らしい光景が楽しめます。11月27日、明け方東の低空で、金星と土星が大接近します。

 

●2012年の天文現象ガイド

今年の天文現象を100%楽しむために、ぜひパレットおおさきに足をお運び下さい。
プラネタリウム番組「おおさき星空散歩」では、「金環日食」「金星の太陽面通過」「金星食」等々の今年の天文現象を、映像を交えたダイジェストでわかりやすく紹介します。
1月18日の「初歩の天文学」(10時〜11時半、視聴覚室)では、見所いっぱいの今年の星空の楽しみ方、観察のしかたを詳しく紹介します。

●月ごとの主な天文現象

 

絆プロジェクト始動! 星空スタッフ募集

大崎生涯学習センターでは「星空のもと家族・地域の絆を強めよう」を合い言葉に、家族・地域ぐるみで星空と親しむ「絆プロジェクト」を始動しました。星をみる会や星空音楽会、来たる「日食をみる会」「金星太陽面通過観測会」などを運営する「天文ボランティア」を募集しています。星空を一緒に見たい方、楽しみたい方、子どもや地域の皆さんに星空を見せたい方、イベントが好きな方どなたでも歓迎です。一緒に星空を見上げましょう!

 

問い合わせ:大崎生涯学習センター(電話0229−91−8611)。

 

この記事作成にあたり,「2012年天文現象カレンダー(白河天体観測所&チロ天文台:藤井旭氏提供),「藤井旭の天文年鑑2012年版」「天文年鑑2012」を参考にさせていただきました。

この記事中の星座および天文現象のシミュレーションには,アストロアーツ社製ステラナビゲーターを使用しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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