2014(平成26)年は甲午(きのえうま)=「うま年」です。
夜空には「ペガスス座」「こうま座」という馬の星座が輝いています。
ペガスス座は、空を駆ける天馬ペガサスの姿。こうま座は、ペガサスの弟ケレリスの姿とも言われます。
この季節、西の空に見える「秋の四辺形」を目印に探すことができます。
どっしりと安定感のある四辺形にあやかって、この一年、何事も「うま」くいきますように。
さて、天界はどんな年になるのでしょう。この一年の天文現象をご紹介します。
2014年は月食の年。特に10月8日の皆既月食は見逃せません。4月には火星接近。土星食や木星衛星の
相互食も興味深い天文現象です。5月24日はきりん座流星群にも注目です。
2014年の主な天文現象 (★は特に注目)
1月 4日 しぶんぎ座流星群が極大(月明はなく好条件)
6日 木星がふたご座で衝
11日 金星が内合(以後明け方の東天に見えます)
2月15日 金星が最大光度(−4.6等)
26日 月と金星が接近(西表島以西で金星食)
3月23日 金星が西方最大離角(明けの明星)
4月14日★火星が地球に最接近(−1.4等、おとめ座)
15日 部分月食
5月11日 土星がてんびん座で衝
24日 5月きりん座流星群出現の可能性
7月 6日 小惑星ベスタと準惑星ケレスの接近
8月 2日 旧暦7月7日伝統的七夕
11日 今年一番大きな満月(スーパームーン)
13日 ペルセウス座流星群が極大(満月過ぎの月明)
18日 明け方、金星と木星の接近
9月 8日 中秋の名月
28日 昼間、土星の食
10月6日 木星の衛星同士の相互食(来年8月まで)
8日★皆既月食(宵の東の空)
24日 金星が外合(以後、夕方の西天へ)
12月14日 ふたご座流星群が極大(下弦の月明)
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●各月の星空と主な天文現象
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
●月食の年
今年最大の天文ショーは、10月8日(水)に起こる皆既月食です。この日、大崎での日没は17時10分。太陽が沈む直前に東の空に満月が顔を出し、空が暗くなる18時15分から月食が始まります。
10月8日 皆既月食の経過
欠け始め
18時14.5分
皆既始まり
19時24.6分
食の最大
19h時4.6分
皆既終わり
20時24.5分
食の終わり
21時34.7分
月食は、満月が地球の影に入り込む現象です。今回は、地球の影にすっぽりと入り込む「皆既」になり、19時25分から20時25分の1時間続きます。この時、月は全く見えなくなるわけではありません。その理由は、地球に空気があるからです。太陽の光が地球の大気を屈折しながら進んで月をほのかに照らし、「赤銅色」という月食特有の神秘的な輝きになります。その色や明るさは、地球と月の位置関係や地球の大気状態などによって毎回異なります。今回は、どんな月食になるのでしょうか。
早い時間帯に全過程を楽しめる月食ですので、ぜひ家族や地域で楽しんでほしいものです。肉眼で気軽に楽しめますが、双眼鏡や小型の望遠鏡があれば、より詳しく観察することができます。
月食は4月15日(火)にも起こります。北米方面で皆既月食になりますが、大崎では、部分月食の後半を楽しむことになります。18時13分、太陽と入れ替わりに東から昇る月に注目しましょう。せんべいをかじったように、上のほうが欠けている様子をみることができます。月の出から20分たった18時33分に食は終わってしまいますが、その後1時間は地球の影の薄い部分に月が入っている「半影食」が続きます。肉眼ではわかりづらいのですが、写真には意外によく写ります。デジカメでズームをかけて撮影にチャレンジしてみましょう。
地球全体では、日食も2回起こりますが、日本からはいずれも見ることはできません。4月29日(火)に南極方面で金環日食、10月24日(金)に北米方面で部分日食になります。次に日本で見ることができる日食は、2016年3月9日です。
●火星接近
火星は4月9日(水)に、地球から見て太陽と正反対の位置である「衝(しょう)」となり、おとめ座で見やすくなります。火星の最接近は4月14日(月)で、地球との距離は0.6176天文単位(約9、239万km)。これは火星としては「小接近」に相当する距離ですが、一晩中、明るく赤く輝く火星を楽しむことができます。火星の軌道は楕円なので、最接近のたびに距離は違います。次回の大接近は2018年7月31日で、5759万kmまで近づきます。
●その他の惑星の動き
水星は太陽に近いため、なかなか見るチャンスが少ないのですが、夕方の西の空に見やすくなるのは、1月下旬から2月上旬、5月中旬から6月上旬、9月下旬頃です。最も条件の良いのは5月25日頃の夕方の空です。
昨年の5月ごろから「宵の明星」として夕暮れの空に明るく輝いていた金星は、年明けとともに明け方の東の空に移って「明けの明星」となります。2月15日(土)は−4.6等星の最大光度に達し、見かけ上もっとも太陽から離れて見やすくなる西方最大離角は3月23日(日)です。
木星は7月まではふたご座、それ以降はかに座に移りますので、冬〜春まで観望の好機です。木星には、イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストというイタリアの天文学者ガリレオが発見した4つの巨大衛星「ガリレオ衛星」があり、小さな望遠鏡でも簡単に観察できます。今年の8月から来年の8月までの1年間、衛星の軌道面が地球に向くため、衛星同士がお互いを隠し合ったりする「ガリレオ衛星の相互食」という興味深い現象が起こります。
環のある星として人気の土星は、てんびん座にあります。5月11日(日)に衝を迎えます。春から夏の「星をみる会」では、土星をお楽しみましょう。9月28日(日)には、月が土星を隠す「土星食」が起こります。ただし、起こるのは昼間なので観察には望遠鏡が必要です。大崎生涯学習センターでは、「白昼の土星食」パブリックビューイングを開催予定です。
天王星はうお座、海王星はみずがめ座で、ともに秋の夜空に観察できます。
●彗星(すいせい)
昨年、世紀の大彗星になると期待されていたアイソン彗星(2012 S1)は、11月末の太陽最接近時に崩壊・蒸発するという衝撃的な結末となってしまいました。また、3月に明るく見えると期待されたパンスターズ彗星(2011
L4)も、肉眼で楽しめるような大彗星にはなりませんでした。一方で、あまり期待されていなかったラブジョイ彗星が、年末に長い尾をたなびかせた美しい姿を見せてくれました。このように、予測できない変化を見せてくれるのも彗星の魅力です。
今年は、パンスターズ彗星(2012 K1)が、夏に双眼鏡で観察できる明るさになると予想されています。また、リニア彗星(209P)は小型の彗星ですが、5月29日に地球に大接近し、小型の望遠鏡を使えば、夜空を足早に移動する様子を楽しめるでしょう。そのほかにも、明るい新彗星の出現を楽しみにしたいものです。
●ペルセウス座流星群とふたご座流星群に注目
1月4日(土)のしぶんぎ座流星群、8月13日(水)のペルセウス座流星群、12月14日(日)のふたご座流星群を三大流星群といいます。一番観察しやすいペルセウス座流星群は、明るい月があり条件は悪いのですが、明るい流れ星が多いので、ぜひ観察してみましょう。ふたご座流星群も下弦の月がありますが、毎年多くの流れ星が流れます。寒くない服装でじっくり観察したいものです。
流星群は、彗星の残していったチリが地球に衝突して発光する現象です。地球に大接近するリニア彗星(209P)の放ったチリが、5月24日(土)の午後、きりん座流星群として大出現する可能性もあります。24日の未明と25日の夕方、北の空から飛ぶ流星に注目しましょう。
●大崎の星
宇宙には、大崎の地名が命名された小惑星があるのをご存知でしょうか。静岡県の浦田武さんと栃木県の伊野田繁さん(両人とも故人)のお二人によって1991年に発見された2つの小惑星に、大崎市のラムサール条約登録湿地にちなんで「(6270)Kabukuri(蕪栗)」・「(6324)Kejonuma(化女沼)」と命名。また、1997年に群馬県の小林隆男さんによって発見された小惑星には 「(9107)
Narukospa(鳴子温泉)」と命名させていただきました。
3つの小惑星が、今年そろって観測条件が良くなります。「蕪栗」は、6月下旬いて座で衝を迎えて16.9等に。「鳴子温泉」は、9月初旬にみずがめ座で17.6等。「化女沼」は、10月中旬におひつじ座で衝16.6等まで明るくなります。いずれも、直接目で観察するには暗すぎる明るさですが、大崎生涯学習センターの屋上天文台に設置した30cm反射望遠鏡と天体カメラで観測可能です。興味のある方はご一緒に観測してみませんか。お気軽にお問い合わせください。
●その他の天文現象
その他、主な天文現象を「表」にまとめました。
中秋の名月は9月8日、十三夜は10月6日です。旧暦7月7日の伝統的な七夕は8月13日です。
これ以外にも,突発的な現象や明るい新天体の出現があるかもしれません。今年も星空や宇宙に注目しましょう。
●2014年 月ごとの主な天文現象
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月