大特集!
2016年の天文現象

 

 

2016(平成28)年は,丙申(ひのえさる)=「さる年」です。

●さるの星!?

全天88の星座中、動物の星座はたくさんありますが、残念ながら夜空に「さる座」はありません。

そのかわり、冬の星座オリオン座とふたご座の間をみてみましょう。冬の天の川が流れ、たくさんの星々や星雲星団が、まるで宝石のように輝いています。

その中に、何やらお猿さんが横を向いているように見える星雲があります。

地球から約6、400光年彼方に広がる輝線星雲(きせんせいうん)「モンキー星雲」です。星の材料となる水素ガスが近くの星から高いエネルギーを受けて、自ら光り輝いています。今年もうきうき楽しく、輝かしい一年になりますように。

それでは、今年の天文現象をご紹介しましょう。

 

 

●写真で見る2016年の主な天文現象

 

 

●主な天文現象
 

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●正月の夜空「カタリナ彗星」を観察しよう

 

長い尾をたなびかせて夜空をかける彗(すい)星。肉眼でもはっきり見える大彗星はまれですが,双眼鏡で観察できる中型の彗星は年に1,2個現れます。今年も1月から2月に「カタリナ彗星」,5月から6月には「パンスターズ彗星」が双眼鏡で観察できる明るさになります。

写真は,昨年12月23日に撮影したカタリナ彗星です。右上に細長いイオンの尾,左下に幅広いチリの尾が広がっています。この彗星は,アリゾナ大学月惑星研究所のカタリナ・スカイサーベイで2013年10月31日に発見された天体です。昨年11月16日に太陽に最接近した後,年末から1月にかけておとめ座,うしかい座を移動し,北斗七星をかすめて北極星に向かって足早に移動していきます。正月には,うしかい座のアルクトウルスに大接近し,17日にはおおぐま座の回転花火銀河M101に接近,下旬からは北極星近くで一晩中観察可能な状態になります。

地球に最接近する1月16日には大崎生涯学習センターで星をみる会が行われ,6等まで明るくなったカタリナ彗星を30cm反射望遠鏡で観察していただく予定です。

 

●3月9日の昼前に部分日食

 今年最大の天文ショーは,3月9日に全国で見られる部分日食です。日食は,月が太陽と地球の間に入り込み,月が太陽を隠してしまう現象です。今回,太陽−月−地球が一直線に並ぶため,インドネシアなどでは皆既(かいき)日食になります。日本からは,一部分が欠ける部分日食になります。大崎では,10時22分から欠け始め,11時13分に食の最大となり,12時05分に終了します。写真の日食と同じ程度の欠け方で,太陽の直径に対して26%が欠ける日食となります。

平日の午前中で,しかも学校・企業は入試,卒業式,年度末で多忙な時期ですが,2012年5月の日食で使用した日食グラスなどを有効に使って,貴重な天文ショーを楽しんでほしいものです。次回日本で見える部分日食は,2019年1月6日です。

●惑星の動き

 水星は,太陽に近いために観測が難しい惑星ですが,夕方の西の空に見やすくなるのは4月中旬,8月初旬,12月下旬です。最も条件の良いのは4月13〜20日頃で,夕方の西の空低く,おうし座のプレアデス星団・すばるの下にぽつんと輝いている様子を見つけることができるでしょう。

 金星は,年始めから5月までは「明けの明星」として朝方の空に輝きます。6月7日,太陽の向こうに回りこむ「外合(がいごう)」となった以後は夕方の西の空に移り,9月になれば一番星「宵の明星」として人目を引くようになるでしょう。金星は10月30日に土星と,12月3日には細い月と並び,素晴らしい光景を楽しませてくれるでしょう。

木星はしし座にあり,春の夜空で見やすくなります。木星にはイオ,エウロパ,ガニメデ,カリストというイタリアの天文学者ガリレオが発見した4つの巨大衛星「ガリレオ衛星」があり,小さな望遠鏡でも簡単に観察できます。

 

 環のある星として人気の土星は,へびつかい座にあり,夏に見やすくなります。2017年にかけて環が最も開きますので,今年の土星は一段と見応えがある姿となります。4月には,赤い火星と黄色い土星が接近するので,美しい色の対比を楽しめます。

 

 天王星はうお座,海王星はみずがめ座で,ともに秋の夜空に見やすくなります。双眼鏡や望遠鏡を使って観察できます。8月19日19時19分頃には,月が海王星を隠す「海王星食」がおこります。

 

●火星接近の年

 今年は,2年2ヶ月ぶりの火星接近があります。最接近は5月31日。このときの地球との距離は0.503天文単位(天文単位は地球−太陽間を1とする距離の単位),7528kmです。火星の軌道はだ円のため,接近ごとに地球との距離は異なりますが,今回の接近の度合いは「中接近」に相当します。これまでは「小接近」でしたが,2018年の大接近を控え,いよいよ観測条件が良くなってきました。火星は,春先から深夜明るく見え始め,5月にはさそり座付近でマイナス2等の明るさで赤く輝くことでしょう。さそり座の心臓には,「火星の敵」という意味の一等星アンタレスが輝きますが,火星とアンタレスの赤さ・明るさ比べが楽しみです。

 

●3回の半影月食

月食は,満月が地球の影に入り込む現象です。今年は,地球の影の濃い部分である本影にすっぽり入り込む皆既(かいき)月食は起こらず,本影の外をぼんやりと取り巻く薄い影に入り込むだけの半影(はんえい)月食が3回起こります。

1回目は,3月23日の宵に起こります。20時ごろには月がわずかに薄暗くなっているはずですが,月が半影に少しだけ入り込む浅い月食ですので,注意しないと気付かないかも知れません。2回目は,8月18日の夕方に起こります。18時42分が最大ですが,半影をわずかにかすめるだけなので,変化はほとんど分からないでしょう。3回目は,9月17日の明け方に起こります。本影の近くまで深く入り込むので,3月や8月の月食と比べれば,変化ははっきりしているでしょう。

肉眼では分かりづらくても,写真では意外とはっきり写るものです。月面上の濃淡を写し出すには,露出オーバーにならないようにするのがコツです。ぜひ写真撮影にチャレンジしてみましょう。なお,日本で見える次回の部分月食は2017年8月8日未明,皆既月食は,2018年1月31日の宵です。

 

●ペルセウス座流星群に注目

 1月4日のしぶんぎ座流星群,8月13日のペルセウス座流星群,12月14日から15日のふたご座流星群は,毎年安定した出現を見せることから三大流星群と呼ばれています。そのひとつ,しぶんぎ座流星群がお正月明けに見られます。この流星群は,ピークの時間が短い性質があり,短時間にたくさん流れたかと思うとたちまち見えなくなってしまいます。今年のピークの予報時刻は4日夕方ですから,放射点のあるりゅう座は高く昇っていないため条件はあまり良くありません。明け方にはりゅう座が高くなりますが,月も昇ってくるため,暗い流れ星が見えなくなってしまいます。防寒に十分注意しながら,新年の願い事を流れ星に唱えてみましょう。

一番観察しやすいペルセウス座流星群は,月の明かりがないため好条件です。一方,近年活動が活発なふたご座流星群やオリオン座流星群は,満月のため条件は最悪です。そのほか,5月6日のみずがめ座流星群や10月8日の10月りゅう座流星群は月の影響が少なく好条件です。

 

●アルデバラン食

 オレンジ色に輝くおうし座の1等星アルデバランが,11月15日から16日にかけて月に隠されます。アルデバランの周りにはヒアデス星団という見事な星の集まりがありますので,この星団と月の接近も見ものです。双眼鏡を使うと大変素晴らしい眺めを楽しむことができます。アルデバラン食は,5月8日の夕方,9月22日の朝方にも起こります。

 

 

●スーパームーン

11月14日の満月は,一年で一番大きな満月「スーパームーン」です。これは正式な天文用語ではありませんが,最近よく耳にする言葉です。月は地球の周りを回っていますが,一番近づくときで36万3千キロメートル,最も遠ざかるときは40万6千キロメートルのだ円軌道を描いています。したがって,どの地点で満月になるかによって,満月の大きさは違って見えるのです。ちなみに,今年一番小さな満月は4月22日です。11月14日には35万6509kmまで近づき,68年ぶりの大きな満月になるそうです。

 

●大崎の星

  宇宙には,大崎の地名が命名された小惑星があります。静岡県の浦田武さんと栃木県の伊野田繁さん(両人とも故人)のお二人によって1991年に発見された2つの小惑星に,大崎市のラムサール条約登録湿地にちなんで「(6270)Kabukuri(蕪栗)」・「(6324)Kejonuma(化女沼)」と命名。また,1997年に群馬県の小林隆男さんによって発見された小惑星には 「(9107) Narukospa(鳴子温泉)」と命名していただきました。

そのうち,小惑星「化女沼」が4月,おとめ座で約17等まで明るくなります。直接目で観察できない明るさですが,大崎生涯学習センターの屋上天文台に設置した30cm反射望遠鏡と天体カメラを使えば観測可能です。興味のある方はご一緒に観測してみませんか。お気軽にお問い合わせください。


 

 

●その他の天文現象

  
 中秋の名月は9月8日、十三夜は10月6日です。旧暦7月7日の伝統的な七夕は8月13日です。
 これ以外にも,突発的な現象や明るい新天体の出現があるかもしれません。今年も星空や宇宙に注目しましょう。

 

●星をみる会テーマ
 
毎月1回,各回19:30〜20:45。
*4月以降は予定です
 
 1月16日(土)「冬の一等星めぐり」
 2月 6日(土)「木星とかに座プレセペ星団」
 3月12日(土)「月と木星」
 
 4月16日(土)「月・木星・レグルス・スピカ」
 5月22日(日)「火星」
 6月11日(土)「月・火星・土星」
 7月 9日(土)「七夕の星」
 8月21日(日)「夕方の惑星たち」
 9月15日(木)「中秋の名月」
10月 8日(土)「アルビレオ・アルマク・アルゲディ」
11月19日(土)「天王星・海王星」
12月10日(土)「すばる・アンドロメダ銀河」
 

 

 

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