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変光星を観測しよう

平成12年度「初歩の天体観察」資料より

  ペルセウス座のβ(ベータ)星・アルゴルとくじら座のο(オミクロン星)のミラは、明るさを変える星の代表格です。今日3万5千個を越える変光星の中でも「超」有名な星です。
 アルゴルは、普段は2等星ですが、約3日おきに3等まで暗くなる星。
 ミラは約100日で、2等から10等まで明るくなったり暗くなったりを繰り返す星です。
 どちらも、明るさを変える「変光星」で、肉眼でもその明るさの変化の様子を観測できます。

 ミラは、10月30日頃、明るさのピークを迎えます。また、アルゴルが暗くなるピークは下の表の通りです。まわりにある明るさのわかっている星とくらべることによって、ある時刻の光度を観測することができます。

の場合の観測とは、“いつ、どのくらいの明るさか”を測って記録に残すことです。時間は「分」まで、明るさの尺度は「等級」を使います。

(1)他の星と比べて明るさを調べる

 基本は、明るさのわかっている星と比べることによって、明るさを変える星(変光星)の明るさを目で測るという方法です。
 ほとんど同じ明るさの星があれば、変光星の明るさはその星と同じ明るさとします。
 しかし、アルゴルや極大期のミラは明るい星なので、近くにほとんど同じ明るさの星はめったにありません。
 そこで、「あの星とあの星の中間ぐらいだから、2等星くらいかな?」「あの星とこの星の間の明るさだけど、この星の方に近いからう〜ん、まあ1.5等と2等の間。1.7等星ぐらいかな!?」というふうに明るさを見積もります。
 しかし、この方法はおおざっぱな方法です。より正確に観測したいという方は、次の
(2)からの方法を使ってください。


(2)より、正確な方法 ---「比例法」

次のように、明るさを比べる星(比較星・ひかくせい)をさがし、比較します。

@変光星より少し明るい星仮にaとします)と少しくらい星)をさがします。
Aaの明るさに、変光星の明るさががそれぞれどれだけ近いかを見くらべます
Baの明るさを(頭のなかで)10段階し、変光星は“aにいくつからいくつ”と考え、つぎのようにメモします。

  明るさがaのほうに近ければ、その程度によって、   a (1) v (9) b ・・・かなり(a)にちかい 
                                 a (2) v (8) b
                                 a (3) v (7) b
                                 a (4) v (6) b ・・・ほとんど同じだが(a)にちかい
  もし、変光星が、aとbのちょうど中間ならば、      a (5) v (5) b 

  
明るさがbのほうに近ければ、その程度によって、   a (6) v (4) b ・・・かなり(b)にちかい
                                 a (7) v (3) b
                                 a (8) v (2) b
                                 a (9) v (1) b ・・・かなり(b)にちかい

  もし、変光星が、a、またはbとまったく同じならば、    v=a、v=bなどとメモします。 

Cたとえば、a
星が1.6等、星は2.2等aにわりと近くてよりかなり暗く、“Aに2でから8”と考えたとします。
  観測した時刻とともに次のようにメモします。
     2000年*月*日 *時*分*秒
       a  (2) V  (8)  b     
       *(Vは明るさを変える星・Variableの意味です)
       *もちろん、aとbの星が、何座の何という星かということもメモしておきます

Dあとは計算です。
    ・明るさは、その星の等級から小数点をなくした2桁の数字とします。たとえば2.4等は“24”として書きます。

                             
 
     変光星の明るさ = (a)の明るさ +  (bの明るさ−aの明るさ)    -                   -----------------------------------

                                 10

    <説明>

・aとbの明るさの差を<C>とすると   C = 22-16 =6
・aとbの明るさの差の1段階がどのくらいかは、Cを10で割ればいいから、6÷10で0.6(0.6等ではなく、実際は0.06等)。
・aから2段階暗いということは、aより (C÷10)×2 = 0.6×2 =1.2数字が大きいということ。
・aの明るさは16としているので、16+0.6=16.6

・小数点をつけなおして、1.66等。
・誤差を考えて、観測地は1.7等とする。

以上の観測法を、変光星観測では「比例法」と呼んでおり、初心者の方にもおすすめです。

(2)比較星選びの注意点〜より正確な観測とするために〜
次のいくつかを頭に入れると、さらに正確な観測となります。
@同じ色の星と比べる。一般に赤い星は、青い星と比べて人間の目に感じる明るさが違うので選ばない。
A地平線からの高さ(地平高度)ができるだけ同じ星を選ぶ。地平高度が低くなると、地球の大気の吸収で、本来の明るさより暗くなってしまうからです。
B可能であれば、複数の比較星を選んで何回か観測し平均する。

(3)観測報告の書き方

たとえば、次のように書きます。

例1)さそり座デルタ星
    2000年7月23日 21時13分30秒(JST)
    1.7等(肉眼による目測)
    観測者 遊佐徹 (観測場所・連絡先・住所)
  例2)さそり座デルタ星
              2000 July 23.509(UT)
              mag=1.7
              Obs. Toru Yusa

 

参考:世界時(UT)について

 せっかくの貴重な観測。そのとき、その星を見ているのは、全世界であなた一人かもしれません。変光星の観測報告は、@変光星の名前、A観測時刻とB観測した光度、C観測者名の4点です。
 ただし、変光星は外国の観測者にとっても貴重な資料になりますので、世界共通の時刻で報告する約束になっています。世界共通の時刻とは、グリニッジ天文台(経度0°)を基準とした「世界時(
Universal Time =UT)」で、次のように求めます。

         {日本時間の“時(30時間制)”−9}+分
  世界時=------------------------------------
                1440

 

例)1999年9月18日21時13分(日本時)をUTに変換する

@観測時刻の21時から、グリニッジとの時差(9時間)を引く
       21−9=12
A12に60(1時間あたりの分数)をかける。
       12
×60=720
B720に、観測時刻の分数(13)をたす。
       720+13=733
C上記の分数(732)を1日の分数(1440)で割る。
       732
÷1440=0.509027
...

  *以上の計算は電卓で、219 ×60 + 13 ÷1440 で求まる

D時刻の精度を考え、小数点を丸める(1分=0.0007日)
       0.509027 → 0.509
  *小数点5桁以下は無意味ですので。通常3桁で十分。
E日付に、Dの値を足す。

観測時刻: 1999. Sept.18.509(UT)