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正体判明!6月4日の輝星
宇宙研で放球した気球でした

     【2001年11月7日公開】  


 今年6月4日夕刻、宮城・岩手・山形で正体不明の輝星(詳細はこちらのページ)が目撃され、ラジオでも報道されたのを覚えていらっしゃいますでしょうか。あれから半年近くたちましたが、先日やっとその正体が判明したので報告します。

 結論から急ぎますと、4日に宮城県北部の栗駒町で目撃された太陽近くの光点も、同日夕刻に宮城・山形で目撃された輝星も、宇宙科学研究所で放球された搭載機器試験のための気球「B15−82」でした。

 この気球は、上空での直径が33.4m、長さが47.3mで、観測機器の重量は180kg、気球の重さも80kgにおよぶ巨大なものです。6月4日6時00分に、岩手県三陸町の三陸大気球観測所から放球された気球は、高度20kmぐらいまでは西から東に吹く偏西風でいったん太平洋上に抜けます。しかし、5〜6月と8〜9月にかけての日本上空には東から西へ吹く「偏東風」があり、これに流されて、再び日本に向かうのです。このふたつの向きの風により、「ブーメラン気球」と名付けられるような、飛翔経路をとるのです。

 この気球である可能性をご指摘いただきました富山市天文台の渡辺誠さん、当日の「B15−82」打ち上げについての状況を教えていただいた宇宙科学研究所気球工学の並木道義さん、そしてこの物体についてのたくさんの情報をお寄せいただいた方々に感謝いたします。

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