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さそり座デルタ星が、再び増光か?

        【2000年10月1日更新】


一時1.7等まで明るくなった、さそり座デルタ星。9月下旬までに元の明るさに戻りつつありましたが、9月末に再び増光傾向にあるようです。 なお、さそり座は10月になると、太陽のすぐそばに位置するので、観測のための状態は非常に悪くなっていきます。次に明け方に姿を現すのは、12月下旬になってからです。なるべく早い時期に、再増光の様子をとらえてみましょう。

dsco0731_bw.jpg (5452 バイト) dsco0820_sm.jpg (5828 バイト)

7月31日のさそり座付近
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8月20日のさそり座中心部クリックすると大きな画像が見れます

 

 空が暗くなってすぐの南西低いところに、夏の星座さそり座が見えています。さそり座は、心臓に輝く有名なアンタレスを中心に大きなS字カーブを描き、頭(さそりのはさみ)の部分には3つの明るい星(上からベータ星・デルタ星・パイ星)が並んでいます。

 さて、この3つの星の真ん中に輝くさそり座のデルタ星・ジュバに異変が起こりました。さそり座デルタ星はこれまで明るさを変えない、2.3等星の青白く輝く星とされてきました。もちろん、肉眼でよく見える星です。
 6月末、この星が、いつもよりわずかに(0.1等)明るくなっているのに、アルゼンチンの変光星観測者Sebastian Oteroが気づきました。そして、その後も少しずつ明るくなり続け、7月16日と20日の観測では普段より0.3等明るい2.0等、24日には0.6等も明るい1.8等に達しています。普段からさそり座を見慣れている人にとっては、もはやさそり座全体の印象が違ったものにさえ見える状況です。
 19日には、スペイン・バレンシア大学のFabregatらは、スペクトル観測から普通の星だったこの星がBe型と呼ばれる変光星に「変身」している事実をつきとめました。Be型とは、高い速度で自転する高い温度の星で、星の周囲にはガスの円盤が作られて、それが星本体にぶつかることによって明るさを変える星のことです。
 肉眼でもはっきりとわかる星でこのような現象が観測されたのは、1937年4月に普段より1.6等ほど明るさを増したカシオペア座ガンマ星(5つの星のうち真ん中の星で普段は2.5等)以来で、63年ぶりとなります。

 7/31日、さそり座デルタ星は普段より0.6等明るい状態で、1.7等。このころが、明るさのピークでした。
 その後、次第に元の明るさに戻りつつあります。しかし、今後、再び明るくなる可能性もないわけではありません。晴れた宵には、是非さそり座とこの星の明るさを見てください。

<パレットおおさきでの観測>
7月31日21時16分 1.7等
8月7日21時31分 1.9等
8月13日21時40分 2.0等
8月20日20時30分ごろ 2.0より暗い

<パレットおおさきでの観測>
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 「さそり座デルタ星観察ガイド」

 

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