パレットおおさき天文情報

 プラネタリウム天文情報へ

地球に接近する小惑星・2000 RD53

    【2000年9月10日公開】  


 

< spaceweather.com ASTEROID ALERT >

リニア彗星や数々の彗星・小惑星発見で知られる
、米国・アリゾナのリンカーン研究所・地球接近小惑星研究計画(LINEAR)チームThe Lincoln Near Earth Asteroid Research =LINEAR) が、9月6日、地球に接近する小惑星を発見しました。この小惑星は、2000 RD53 で、9月17日に、地球から0.03AU(1AUは太陽と地球の距離で約1億5000万km=1天文単位)の至近距離を通過していきます。これは、月の12倍にあたる距離で、宇宙の広さからすると、まさに「ニアミス」です。

 この小惑星は、大きさが300〜400mと見積もられており、今回衝突の危険性はまったくありません。かなり小型ですが、地球に近づいているため、小惑星は、アマチュアの持つ小型望遠鏡でも、写真観測であればとらえられる15等〜13等の明るさです。現在秋の星座ペガスス座にあり、うお座・くじら座に向かって移動中です(詳しい位置はこちら)。

 地球に将来接近する可能性のある小惑星や彗星を地球近傍天体(Near Earth Object; NEO)とよび、91個の彗星と456個の小惑星が登録されています<IAU: Minor Planet CenterList of (comets and) NEO designations assigned in the past year >。
 また、地球に異常接近し、潜在的な危険性がある小惑星をPHA(Potentially Hazardous Asteroid)とよんでいますが、21世紀の終わりまでに271個の小惑星(2000年9月6日現在)の接近が予測されています<IAU: Minor Planet CenterPotentially Hazardous Asteroids (PHAs) 幸いなことに、PHAsのなかにも、近い将来地球に衝突するものは現在のところありません。

 しかし、
Science@nasaヘッドラインニュース2000.9.1 には、今年8月6日〜9月20日にかけて、地球から0.180.03AUの至近距離に8個の小惑星が接近する、というニュースがありました。小惑星の地球接近は、しょっちゅう起こっているのです。しかも、このうちの6つまでが、今年発見された「最近まで気づかなかった」小惑星です。

 宇宙からのディープインパクトを深刻に受け止めることはありませんが、私たちは常に宇宙に関心を持ち、地球の置かれた環境というものに目を向けていくべきでしょう。我々が星に興味を持って、美しい星空を守ろうとする意識があれば、仮に地球に衝突する天体があったとしても、十分な時間的余裕をもって発見することができるはずですから。

 

 

 

パレットおおさき天文情報

プラネタリウム天文情報へ