しし座流星の数について

 

 パレットおおさきのホームページの、「せまり来るしし座流星雨」の記事で、「11月19日未明、1時間に数万個(の流れ星が見える)!?」のサブタイトルをとりました。この表現は大変抽象的で、流星の出現数予測を過大にお伝えし誤解を与えてしまう可能性があるというご指摘をいただきました。
 理想的な空の条件のもとでは、出現のピーク時、1時間あたりの数に換算すると1万個以上の流れ星が出現する可能性があるというように、修正させていただきます。

 この1万個以上、という数は、アッシャー博士の論文の中の、「ピーク時のZHR15,000個」という予測値からとったものです。

 「ZHR」とは、さまざまな場所での観測値を比較するために、

・雲のない、(6.5等まで見える)非常に空の暗いところで、
・放射点(流星群が流れ出る空の1点)が空のてっぺんにあったと仮定し、
・しかも空全体に流れた流星をひとつも見落とさなかった場合に見える流星の数

として、実際の観測値に補正を施して求める計算上の流星数のことです。

 したがって、実際にZHR=15,000の流れ星が出現したと計算された出現状況でも、ひとりの人間が全天くまなく、しかも6.5等という暗い流れ星まで実際に見えるわけがありません。

 また、「ピーク時の」という条件があることにも注意が必要です。
 ピーク時のZHRとは、つまり、最も流星が活発に流れていた時間帯が仮に20分続いた場合には、その20分間に見えた流星数を、ZHRの換算式にあてはめて空の条件や観測した空の範囲等の条件で補正し、仮に1時間そのような出現が続いたと仮定した場合の流星数なのです。なお、もっとも活発に流星が流れる時間の幅は、正確には予測できません。1時間ぐらいという予測があるようですが、それ以上かもしれません。もしかすると、数十分間・数分間でやんでしまうかもしれません。

 なお、観測者が実際に数えた流星数は、1時間あたりの数で「HR」とよびます。それに、見えていた最も暗い星の明るさと、雲量(全天に占める雲の割合を十段階で表し、快晴で雲量0、全天雲で雲量10とする)を付記して、観測の報告とします。

 ですから、実際に何個の流れ星が見えるか、というのはZHRではなくHRで推定しなければいけません。条件が良い空のもとでのHRは、ZHRのおおむね3分の1ぐらいと考えれなよいでしょう。

 アッシャー博士自身は、(天気がよく、空の暗い条件の良いところで)「1分に100個程度」と当館投映のプラネタリウム番組のインタビューで語っています。しかし、上の通り雲や空の明るさで、流星の見える数はかなり違ってきますので簡単にはいえないことです。アッシャー博士の予測は、時刻に関してはかなり精度が良いといえますが、出現数に関しては博士自身予測が難しいとしているところです。

 結論ですが、今年のしし座流星群の迎え方としては、

・博士がピークと予測する11月19日の午前2時31分と3時19分を中心とする数時間に関しては、要注意!空に最大限の注意を払い、大出現を期待して待ちましょう。
結局、博士の予測の正しい解釈のしかたとしては、「ZHRに換算して15,000相当の流星が、数分間見える、かもというところでしょうか。空の明るい街中では1時間あたり、多くても50個くらいかもしれませんし、星のよく見える場所では、ある時間に1分間で100個またはそれ以上見えるかもしれません。とにかく、数に関しては、見てみないことにはわからない、というのが本当のところです。
・空の条件が、見える流れ星の数を左右します。余裕があれば、できるだけ視界の開けた、空の暗いところで観察しましょう。ただし、季節は冬、しかも夜間のことですから、健康・安全にはくれぐれも留意して下さい。

 とにかく、その夜に星空を見上げて、星空を楽しんでみてはいかがでしょう。予想が当たる当たらないはともかくとして、とにかく外にでて見てみないことには、流星雨どころか、一個の流れ星も見ることはできないのですから。

(パレットおおさき プラネタリウム担当 遊佐 徹)

 

関係リンク

<パレットおおさき天文プラネタリウム情報>

<今年のしし座流星群についての特集ページ>
 
 
<11月2日 デビットアッシャー博士講演会>

<今年のしし座流星群の数について>